オープンソースカンファレンス2011 Tokyo/Springにいってきました〜2日目〜

OSC2011 2日目の報告レポートです。

個人的に面白かったのは、「オープンソース/クラウド時代のキャリアデザイン」というセッションです。
環境の変化が激しくなってきているIT業界の中でどのようにキャリアデザインしていけばいいかを議論するというものでした。
わかってはいたことですが、改めて「+αの能力を身につけること」、「既存の考えにとらわれず柔軟に考えること」は重要だと考えさせられました。
ちょっと立ち止まって今取り組んでいることの背景や目的を見直したり、長期的に考えてみたりすることが必要だと思いました。


以下、聴講メモです。

これから始めるIPv6対応監視システム 日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ 大久保氏・高橋氏

概要

OSSの監視ツールを使ったIPv6ネットワークの監視の現状
ZabbixとNagiosでの設定方法の紹介

詳細

IPv6対応について
Nagios,Zabbix,PandoraFMS,Cacti,MRTGなど主要ソフトは基本的に対応済み。
DualStack環境の監視
実際の環境に導入していくにはまだまだIPv4IPv6の両方を監視する必要があると考えられる。
監視ホストがIPv6に対応していない場合プロトコルトランスレータで変換の必要がある。
また監視ホストをIPv6に接続できない場合、監視エージェント経由で変換を実施することで対応可能の場合もある。

IPv6監視での注意点
SNMPIPv6についてネットワーク機器の中にはSNMPエージェントが対応していない場合があるので注意が必要。
NetSNMPはIPv6に対応している。

snmpwalk -v2c -c public udp6:2001:db8:100:200::1

通常のIPアドレス設定の前に「udp6」をつけて実行することでIPv6で値を取得できる。※udp6の付け忘れに注意
アクセス制御にも要注意。
IPv4ではアクセス制御がかかっていてもIPv6で筒抜けの場合がある。
正しくIPv6でもアクセス制御設定を追加する必要がある。

NagiosとZabbixの用途の違い
Zabbixの得意とする構成→Server-Agentによる構成
Nagiosの構成→Nagiosをクライアントしてサービスへのアクセスが得意
ZabbixはIPv6でAgentと接続さえすればAgentから完全な情報を得られる。ZabbixはリンクローカルアドレスではServer-Agentの接続ができない。ZabbixでMySQLを利用する場合はIPv4を利用する。
NagiosによるIPv6監視
Enterprise版も公開されている(有償サポート)プラグインが充実。基本的にはIPv6に対応。自作も容易。
IPv6の設定は非常に簡単。IPv4の設定箇所をIPv6のアドレスに変えるだけ。
ホストの設定をIPv4IPv6の2個設定してそれを各監視項目に割り当てれば両方での監視がOK。
SNMP監視は要注意。コマンドにそのままホストの設定情報を渡すと、IPv6のアドレスをそのままコマンドに渡してしまうので、

という形で明示的にIPv6を使っていることを指定する。
設定のこつとしては、ホスト指定はIPアドレスを直接書くのが無難。
チェックコマンドをIPv4IPv6で明示的にわけるとわかりやすくなる(DNSで監視設定する場合)

ZabbixによるIPv6監視
RDBMSはPostgresを選択。
RPMでZabbixをインストールした場合はデフォルトでIPv6が有効。
ソースからインストールする際は明示的に設定。
Agentの設定でIPv6アドレスでListenするからの接続許可設定。IPv6でListen
Serverの管理画面から監視対象のホストのIPをv6で設定すればOK。


オープンソース/クラウド時代のキャリアデザイン パネラー:HP 有賀氏、イメーション 渡辺氏 ファシリテータ:赤井氏

概要

オープンソース/クラウドの時代におけるキャリアデザインについて2名のパネラーの経験に基づくお話。

詳細

IT業界の動向
OSSに対する考え方が変化してきている。
今まで→OSSで生活できるのか?
これから→OSSとどう付き合っていくか?勉強会などが非常に活発に。
業界の形式も変化してきている。
境界線のない。アウトソーシング。水平的。階層も少なく。変化が激しい。就業可能性(温情主義から離れる)

キャリアとはどういうことだと思うか?
社会人としての人生設計。
自分がやりたい。お金稼がないと。社会的な意味。この3つをどういうバランスでとらえるか。
これを自身で選択していくこと。

キャリアそのものに良い悪いはない。キャリアに対する評価は自分自身で実施するもの。
キャリアを毎日考える必要はないと思う。ただし、節目節目には必ずキャリアデザインを。
逆に節目と節目の間は流されてみるのもあり。
決まった路線に沿ってずっとやっている場合に、もし逸れた時ダメージが大きい。
変化に柔軟に対応できるような考え方が必要。そのためにも流されてみるのもいい。

シャインの3つの問い
1.自分は何が得意か?
2.自分はいったい何をやりたいか?
3.どのようなことをやっている自分なら意味を感じ、社会に役立っていると実感できるのか?


エンジニアに求められるプラスアルファの能力
日本に残る仕事は何かを考える→例:対面での顧客とのやりとりなど
技術がわかる営業。技術もマネジメントもできる。手の届くところからやってみる。
高付加価値を見出すのはやはり好きなことやりたいことから見出される気がする。
本当にやりたいことを見つける。
いい節目は?自分の中で持っている軸が崩れる時は節目ではないか?

キャリアについてどう考えて欲しいか?

  • スキルのミスマッチにならないようアンテナをはる。
    • 技術プラスアルファの能力をもつ。
  • 準備→遭遇→順応→安定化を短い周期で回すか長い周期で回すかを考えてみてもいいかも。(トランジション・サイクルモデル)

Zabbixが商用利用できるか? Zabbix-jp 広瀬氏

概要

Zabbixの機能の紹介。
企業が求める監視に対する要件とはどういうものかの一例。

詳細

企業はシステム監視にどういう考えを持っているか?

  • インフラ監視
  • 死活監視
  • リソース監視
  • ハードウェア監視
  • ログ監視(syslog監視やログ改竄監視)
  • 障害通知
  • アプリケーション監視
  • プロセス監視
  • アプリケーションポート監視
  • アプリケーションログの監視
  • DB監視
    • DBプロセス監視
    • テーブル容量監視Web監視
  • Web監視
    • レスポンス監視
    • セッション数監視
    • ロードバランス状態の監視
  • Javaプロセス監視
  • ネットワーク監視
  • スイッチ冗長化の時のアクティブスタンバイ構成の監視

などなど。

できるだけオペミスやagent起因の障害などの発生をさせたくないため、
"監視エージェントを導入したくない"という場合がある。

Zabbixが商用で利用できるか?
1.上記望まれている監視は基本的にカバー
2.テンプレートが豊富→様々なOSやベンダーに対応したテンプレートがデフォルトで用意されている。
3.GUIによる簡易なカスタマイズ機能
4.エージェントレスでも豊富な監視が可能(SNMP監視など)

結論は「十分に利用できる。」

Zabbixの弱点

  • Zabbix Agentの配布に時間がかかる。→今後Zabbix2系からは解消するための機能が提供される可能性あり
    • 各サーバに個別にインストールが必要
    • 設定ファイルも各サーバに配置する必要がある